東京撮影

撮影初日の待ち合わせ場所で。

 

雨が降っていた。

一応、折りたたみ傘は持っていたけど

天気予報に雨なんてあったっけ?

これから撮影なのに大丈夫だろか?

と心配になった。

 

ラファエルだけ傘を持ってなかったので

買うか聞いたら

私の傘に一緒に入れて欲しいと頼まれた。

小さ過ぎて濡れちゃうと思うと話したけど

問題ないと言う。

 

一瞬

買えばいいのに。と

よぎったけれど、

「仕える」という文字のイメージが

サッと入ってきたので、

自分の傘を広げて入れた。

 

ラファエルはスーツケースを

両手でゴロゴロ。

その隣で私が傘を持つ。

無意識になった瞬間があって

傘の先が彼の頭に当たってしまったらしい。

おどけた声で

「ギャー、復讐しないで!」と

言われて、あ!アイムソーリー!と

謝ったけれど、心底からは謝ってないのが

モロ見える。

 

数分もしたら、超短い柄の傘で

背の高いラファエルに合わせて

持ってる腕が痺れ始めた。

 

傘を持ち変えたりして

宿泊施設まで

持ちこたえたけど、

 

道中、イライラが静かに

ふつふつと上がっていたのを

感じていた。

 

相合傘なら

やっぱり背の高い男の方が

持ってほしいだの、

たまには交代して持って欲しいだの、

仕えたくない想いが

傘をひとつ持つだけのことに

こんなにも溢れ出るものなのかと思った。

むしろ私に仕えさせたいという傲慢な

想いだとか。

 

男は・・・

女は・・・

そうやって分離させている思考が

結構出た。

 

 

 

 

宿泊施設についたら

気がつかないうちに

雨が上がって

大きな虹が出ていて驚いた。

 

こんなに美しくて

はっきりした大きな虹を

見たのはいつぶりだろうか。

初めてかもしれない。

 

3人で感嘆の声を上げた時

ああ、これはジーザスから

祝福されているんだ・・・

そのサインなんだ・・・

嬉しくなった。

 

 

あのさっき私を心配させた雨が。。

 

 

なにかうまくいってないかの

ように見えても心をオープンに

開き続ける大切さ、信頼をラファエルが

よく教えてくれたけれど、

この虹はまさにそういうことの

現れのようだった。

信頼のシンボル。